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亀甲墓 2011.11.12

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今回の沖縄出張の折、仕事でご一緒したOさんご一族の亀甲墓(かめこうばか)を訪ねました。これほど立派な亀甲墓を見るのは初めてです。
亀甲墓は、沖縄独特のお墓です。墓の内部は人が立って入れるほど大きく(お墓の右上立っている人と比較するとその大きさがわかると思います)、門中(ムンチュー)と呼ばれる一族の遺骨が納められています。

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亀甲墓と呼ばれる理由は、見た目が亀の甲羅に似ているためですが、実際は女性の子宮がモチーフ。人は産道を通って生まれ、死後ふたたび産道を通って体内に戻るという考えによるデザインです。亀甲墓を上から眺めると、確かに女性の下腹部の柔らく優しいふくらみが感じられるような気がします。

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昔沖縄では、人が亡くなると遺体を棺に入れ、龕(がん)と呼ばれるカゴのようなものに乗せ4名で担ぎ、葬列を作って墓まで行き、入口に近い場所に棺を安置し、墓の蓋を閉じる。3年ほど経過した後、白骨化した遺体を洗骨し、厨子甕(ずしがめ、ジーシガーミ)と呼ばれる骨壺に移し替え、墓内にあるひな壇のような棚に安置する。その棚は大きな墓になると4〜5段ほどあるようですが、上段の背後は穴になっており、最も古い骨壺は最後にその穴に落とす風習がある地域もあったようです。(沖縄の中でも、地域によってそのルールは様々なようです)
今は、風葬ではなく火葬ですが、体内から生まれ、死後体内に戻り、ゆっくりと時間をかけて骨になり、さらに長い年月をかけて砂となり消えるという考え方に、壮大でロマンチックな宇宙観を感じます。