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厨子甕 2011.11.25

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益子参考館で沖縄の厨子甕(ずしがめ、ジーシガーミ)に出会いました。
益子参考館は、陶芸家の濱田庄司(1894-1978)が集めた陶磁器や漆器などの工芸品を展示・公開するために、自邸の一部を活用した美術館です。濱田庄司は沖縄に長期滞在し、壺屋焼など沖縄の工芸にも影響を受けています。厨子甕は沖縄滞在中に集めたものだそうです。

厨子甕は骨壺です。
沖縄では亀甲墓(かめこうばか)などのお墓の中に遺体を安置し、3年ほど経過したのち、洗骨して厨子甕に納めていたようです。この沖縄特有の骨壺のデザインは、生産地や材質、死者の社会的な地位や住んでいた地域によって異なるため、実に多くのデザインバリエーションが存在します。
沖縄に住んでいた頃は、もちろん厨子甕のことは知っていましたが、実際に使われているシーンに出会ったことはなく、博物館で見たことがある程度でした。

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益子参考館にある厨子甕は、今まで見たことのない素敵なデザインばかりでした。陶製の厨子甕は見たことがありましたが、写真002や003のような石灰岩を彫ったタイプは初めて見ました。なんとも素朴なデザインです。

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写真004-006は、陶製です。それぞれデザインは異なりますが、家をモチーフとし、正面に窓、その左右に花や僧侶と思われる人物が配置されていることなど、ある程度様式化されていたことがわかります。

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写真003の厨子甕は、益子参考館の奥にある巨大な茅葺き屋根の母屋の軒先に置かれていました(写真007)。それを素敵だなぁと思う一方で、ちょっと複雑な心境になりました。
私はプロダクトが本来の目的以外に使われることに肯定的です。代用はモノを有効に使う人の知恵の現れでもあるからです。日本には一器多用という文化もあります。しかし遺骨を収納する厨子甕は、お墓に納められた後は決して人目に触れることのないプロダクトです。その目的を果たせなかったことを単純に肯定してはいけないように感じました。

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