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武者絵 2014.4.8

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栃木県の伝統産業振興プロジェクト「U」のメンバーで武者絵のぼりを制作している(有)武者絵の里 大畑さんを訪ねました。武者絵のぼりとは、端午(たんご)の節句に庭先に飾るのぼりのことです。その歴史は江戸時代の武家社会に遡るようです。
大畑家が武者絵のぼりを制作し始めたのは明治22年(1889年)。現在、武者絵の伝統を継承なさっているのは、3代目の大畑耕雲さんです。
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武者絵のぼりの制作方法には、手描きとシルクスクリーン印刷の大きく2つの方法があります。写真002は、シルクスクリーン印刷の工房です。約10mもある武者絵のぼりも刷ることができる設備です。

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大畑さんを訪問した日は休業日だったために、シルクスクリーンの作業風景は拝見できませんでしたが、「U」のメンバーとしてご一緒している鹿子畑 正美さんが、シルクスクリーンの印刷方法を示してくださいました。

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シルクスクリーン印刷では、色ごとに版が必要です。そのため、多数の版が保管されていました。版さえあれば、何度でも過去の図柄を再現できるという点でも貴重な財産だと思います。

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武者絵のぼりのシルクスクリーン印刷用の版はサイズが大きいため、自動的に洗浄できるマシンを使用していました。

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写真006は、手描きの武者絵のぼりを制作する作業場です。壁に掛かる武者絵のぼりの数々が圧巻!

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武者絵のぼりを描くための絵筆類です(写真007、008)。どのような業種でも、職人が長年使って来た道具類には、その道具が生み出す制作物と同じくらいに魅力を感じます。それは、魅力的な制作物を生んだ痕跡が道具に残るからかもしれません。

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手描きの場合は、写真009のように、床にのぼりを置いて描きます。失敗しても修正が利かない巨大なのぼりに勢いのあるラインを一発で描いていくことに、匠の技だけでなく、勇気を感じます。その「絵師の気が武者絵に内包されていることが、武者絵の価値の本質なのではないか?」とふと思いました。

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01_IMG_4280_8x5.jpg011:photo by Norihisa Seki

シルクスクリーン印刷では表現できない勢いある筆致、刷毛目やかすれの表現に動的な生気を感じました。(写真010、011)

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012:photo by Norihisa Seki








このように魅力的な武者絵のぼりですが、年々需要が減少しているそうです。そこで、武者絵のぼりを反物として考えるというアイデアを発案し、昨年は手提げを商品化しinteriorlifestyle TOKYOで発表しました。interiorlifestyleの展示会場では、特に外国人来場者に好評でしたが、若い女性から「武者絵のバッグがお守りになりそう」という面白い感想も得ました。もともと男子のためのアイテムである武者絵が、女子を守るためのアイテムに価値変換されることはあるのかもしれません。現在では、東急ハンズなどでも販売されるようになっています。

今年度の栃木の伝統産業振興プロジェクト「U」の商品開発のテーマは「華」です。そのため、武者絵のぼりの技法を使って、草花をモチーフに新たな図案を創作しています。また、武者絵特有のカラフルなカラーリングの他に、モノクロのバージョンも用意する予定です。(写真013、014)

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栃木の伝統産業振興プロジェクト「U」でご一緒している鹿子畑さんはとても謙虚な方ですが、どのようなリクエストにもすぐに応えてくださる積極的な方でもあります。現在は武者絵の認知度を向上させ、その魅力を伝えるために、武者絵のぼりを反物と捉え手提げなどに応用していますが、本業はあくまでも武者絵のぼりの制作です。そのため、武者絵のぼりの従来の用途に加え、バッグや衣料品などの材料として二次加工メーカーに供給できることも目指しています。