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日光彫 2014.5.28

DSC02520_4x5.jpg平野秀子さん

DSC02522_4x5.jpg平野央子さん

u_logo(323x500).jpg日光彫の工芸士、平野工芸の平野秀子さん、平野央子(ちかこ)さん母娘を訪ねました。お二人は栃木県の伝統産業振興プロジェクト「U」のメンバーです。

日光彫の起源は江戸時代。「ひっかき刀」(日光三角刀)という彫刻刀で、木の表面をレリーフ状に彫る装飾技術です。もともとは、徳川家光が日光東照宮に装飾を施すために技術者を全国から集めたことがきっかけで、東照宮の完成後に日光に留まった彫師や塗師が木を彫ってタンスやお盆、机などを販売するようになったという歴史があるようです。
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平野さんの道具類(写真001)。
ひっかき刀は、左から3番目と5番目にある刃先が「く」の字に曲がった彫刻刀です。材料の表面を引っ掻いて削り取るように絵を彫っていきます。

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木地の表面をひっかき刀で掻きとって描かれた絵の輪郭は、柔らかな線を描きながらもエッジがシャープなため、スピード感と緊張感があります。

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伝統的な日光彫では、彫刻を施した後に、写真003のように漆などを塗って仕上げます。

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この彫刻が施されている引出しには、面白い仕掛けもあります。彫刻の模様の中に引出しの取っ手が隠されているのです!

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写真005は、引出しを開けたところ。引出しの取っ手が彫刻に隠されていると教えてもらったので、割と簡単に取っ手の場所はわかりましたが、そういう仕掛けがあることを知らなければ、取っ手がない不思議な引出しに見えたかもしれません。昔の人の遊び心を感じるデザインです。

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写真006は、様々な文様の型紙です。これをゲージに使って木地に下書きし、ひっかき刀で彫るわけですが、平野秀子さんは下書きなしでも様々な花の文様を描くことができます。実演を見た人ならば誰でも驚くはずです。

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平野秀子さんに教えてもらって、ひっかき刀に挑戦してみました。力の掛け具合が上手くいくと、ペンでスケッチを描くように線を気持ちよく彫れるのですが、それは本当に稀です。思い通りの線をひっかき描くことは全くできず、あらためて平野さんの凄さを体感しました。ひっかき刀一本だけで、下書きなしに素早く絵をひっかき描くことができる平野秀子さんの技は人間国宝級だと思います。

IMG_4350_8x5.jpg007:photo by Norihisa Seki

IMG_4351_8x5_2.jpg008:photo by Norihisa Seki

2012年には、平野秀子さんの神業の魅力をストレートに味わうために、木肌を活かした木箱、『華箱』の制作をお願いし、商品化しました(写真009)。

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今年度は、平野さんの倉庫に何年も寝かせてあった木製の小皿(写真010)を使い、一枚一枚に花の彫刻を施した『華皿』を商品化しました。

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花が大好きな平野さんは、いくらでも華を彫り続けられるもう一つの凄技を持っています。そのため一枚として同じ絵柄はありません。

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6月4日(水)〜6日(金)まで東京ビッグサイトで開催されるinteriorlifestyleでは、30枚ほどの彫刻を施した木製小皿『華皿』を展示します。平野さんの「力の痕跡」を堪能しながら、一枚一枚の『華皿』のレリーフをご覧頂きたいと思っています。

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