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グッド・トイ 2014.8.29

001:photo by Seiji Himeno

キューブ型の木の絵本『だれがどすた?』(写真001)が、今年度のグッド・トイに選定されました。
(関連記事:もくもく絵本研究所_01もくもく絵本研究所_02もくもく絵本

グッド・トイの選定は、NPO法人 グッド・トイ委員会が行っています。
グッド・トイ選定が始まったのは1985年。これまで約350点が選定されているそうです。
1次選考は、全国で約4000名いる「おもちゃコンサルタント」による選考委員会によって、グッド・トイ選考対象内かどうかを判断。2次選考では、全国おもちゃコンサルタントが、冊子をもとにグッド・トイに相応しいと思われるおもちゃに投票。最終選考は、東京おもちゃ美術館と地方会場で開催され、一般来場者の投票結果も含めてグッド・トイは選ばれるとのこと。これまでグッド・トイ選定のことは知らなかったのですが、なかなか厳しい審査です。

002:photo by Seiji Himeno

もくもく絵本研究所の木の絵本は、2012年度のグッドデザイン賞ベスト100にも選ばれ、グッド・トイにも選ばれました。それだけではありません。2006年の「全国間伐・間伐材利用コンクール」[暮らしの中の木材利用部門]の審査委員特別賞受賞に始まり、2007年には「遠野市文化奨励賞」を受賞。2008年には「いわて特産品コンクール工芸生活部門」で岩手県知事賞を受賞。2010年には「全国間伐・間伐材利用コンクール」審査委員奨励賞、2011年にも「遠野市教育文化奨励賞」を受賞しています。
このように高い評価を得ている理由は何なのでしょう?

003

久しぶりに訪ねた遠野の市立博物館で、使い込まれた『だれがどすた?』に出会いました。それは、来館した子供達が自由に遊べるように用意されたけん玉やコマ、お手玉といった日本の郷土玩具と一緒に置かれていました。それらの郷土玩具は、オリジナルは誰がデザインしたのか特定できないアノニマスなデザインです。アノニマス・デザインには、時代や地域を超えて人々に親しまれる普遍性があります。『だれがどすた?』は、アノニマス・デザインではありません。しかしそのデザインには、アノニマス・デザインと同様の普遍的な魅力が備わっているように思います。

004

遠野市立博物館の角が丸く傷だらけになった『だれがどすた?』に強く惹かれました。『だれがどすた?』の傷や汚れが、それで遊んだ子供たちの「愉快の記録」に見えたからです。その『だれがどすた?』が、自分に触れた子供たちの手の温もりを記憶していると想像するとワクワクしてきます。

最近、名前入りの『だれがどすた?』を友人の子供たちにプレゼントしたところ、写メを送ってくれました。
二人ともまだ1歳。言葉がまだわからない二人には少し早すぎるプレゼントと思っていたので、楽しそうに遊んでいる二人の写真に驚きました。彼女たちは何が楽しいんでしょう?

私たちは、1,296通りの文章を作れる「知的な遊び道具」として『だれがどすた?』をデザインしました。ところが子供たちは、サイコロを転がすように4個のキューブを転がして偶然生まれる文章を楽しんだり、友人の子供たちのように積み木として遊んだりと色々です。お風呂に浮かべて遊んでいる子もいるかもしれません。乱暴に扱っても壊れませんし、たった4個しかないので持ち運びも片付けも簡単。そういう思い思いの遊び方を受け入れられるキャパシティーの広さが『だれがどすた?』の魅力なのかもしれません。