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「WAー現代日本のデザインと調和の精神」展 2011.7.15 武蔵野美術大学美術館訪問

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[WA:現代日本のデザインと調和の精神]を観るため、武蔵野美術大学 美術館・図書館を訪問しました。
当美術館は、1967年に図書館、美術館、博物館の機能を一体化させる役割を担う目的で建てられた「美術資料図書館」を2010年にリニューアルしたそうです。ヨーロッパの美術館のような美しい空間が印象的でした。

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海外での展覧会では展示されなかった作品もあったようですが、当展覧会では、オリジナルの企画に忠実に全ての作品が展示されているとのことでした。
「WA」展の会場デザインを手がけたのはトネリコ。段ボール製の什器を用いた軽やかで見やすい空間が印象的でした。

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段ボール製の什器は特注品。波形の美しい断面以外は、小口が表に出ない工夫もされています。ベニヤで制作する什器よりも製造コストが安いようですが、安っぽさはありません。その完成度の高い什器と空間デザインに、展示されているプロダクト以上に興味をもってしまいました。

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「WA」展の展示会場は3カ所に分かれていたのですが、スペースは狭いものの天井が高い会場(写真007/008)は、特に気持ちの良い空間です。入口奥のブルーに光る余白のスペースが、この空間にゆとりと落ち着きを与えているように感じました。

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[WA:現代日本のデザインと調和の精神]と同時に[ムサビのデザイン]展も開催されています。

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会場には貴重な書籍やデザインの名品が展示されています。

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従来のアーカイブスの主役だった35mmポジフィルムのインスタレーションも圧巻です。

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当展覧会の会期中限定で入れる「椅子ギャラリー」には、椅子の名品がずらりとならんでいました。教員や学生たちは、希望すればこれらの名品に座ったり計測したりすることもできるそうです。

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武蔵野美術大学 美術館・図書館には、ポスターと椅子を中心に、様々なプロダクト製品や貴重な書籍や雑誌が約35,000点コレクションされているようです。この展覧会ではそのうち500点が展示されているとのこと。

[WA:現代日本のデザインと調和の精神]展と[ムサビのデザイン]展を見ていると日本における「デザインミュージアム」設立の可能性が垣間見えてきます。

日本には欧米にあるような、きちんとしたキュレーションのもとにデザインを集めたミュージアムがありません。美術館はもっぱらアート作品を、博物館は考古学的価値を持つプロダクトを集めています。デザインは未来をつくる創造活動です。過去や現代における未来創造の痕跡を残し、いつでも見られるようにすることは、過去の実績を踏まえ、さらなる進化を即し、より良い未来を構築するためには必須です。その際、どのデザインを選び残すかはさらに重要です。選択眼には、選んだ者の個性や意図が宿るからです。それは一つのメッセージとなります。欧米のデザインミュージアムでは、欧米人のデザイン観が感じられます。
そういった意味で、[WA:現代日本のデザインと調和の精神]展は、現代の日本人の視点で選んだ日本のデザイン、[ムサビのデザイン]展は、過去の日本人の視点で選ばれた世界のデザインと言えます。この二つの展覧会を丁寧にレビューすれば、世界に影響を及ぼす日本独自の未来を創るデザインミュージアムが構築できる予感がします。

注:当ページで使用している写真は武蔵野美術大学の許可を得て撮影していますので転用を禁止します。