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福田製紙所 2014.4.6

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栃木県の伝統産業振興プロジェクト「U」のメンバーである合名会社 福田製紙所を訪問しました。福田製紙所は、烏山手すき和紙のメーカーです。元来和紙問屋だったそうですが、戦後和紙製造農家が減少する中で和紙漉きを行うようになったそうです。
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烏山和紙の起源は、奈良時代(610年)にまで遡るそうですが、福田製紙所は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培から行っています。(写真002)

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烏山和紙では、日本で最も良質とされている那須楮(なすこうぞ)が使われているそうです。和紙は楮(こうぞ)の皮を剥いで使います。(写真003、004)

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楮の皮は蒸して乾燥させてあります(写真005)。この楮を鉄の釜で2〜3時間煮ます(写真006)。それを煮熟(しゃじゅく)と言うらしいのですが、ソーダ灰を入れて煮ると紙は白くなり、何も入れないで煮ると生成り色になるようです。

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煮熟、あく取りした後、塵取り(ちりとり)をして、ようやく真っ白な和紙の原料ができます(写真007)。塵を乾燥させたもの(写真008)も捨てずに再利用します。

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福田製紙所の作業場は、丸木の梁がむき出しの山小屋のような空間です。

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紙を漉く前に、塵取り(ちりとり)した後の楮(こうぞ)の繊維を細かく砕く叩解(こうかい)という作業をします。(写真010)

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漉き船(すきぶね)という水槽に、叩きほぐされた和紙の原料と水を入れ、竹の棒で混ぜます(写真011)。その後、馬鍬(まぐわ)というクシ型の道具でよく混ぜます(写真012)。その間にネリ(繊維の沈殿を防ぎ、紙漉きのとき繊維の結束強度を高めるもの)を入れ、竹の棒と馬鍬でさらに混ぜる。竹の棒で撹拌する時のジャッボジャッポというリズミカル音色に匠の技を感じました。素人がやるとジャバジャバと不規則な音色になり、決してうまく撹拌できないでしょう。

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竹を編んで作られた和紙の原料をすくい上げる漉簀(すきす)をはさんだ漉桁(すけた)に、和紙の原料を混ぜた舟水(ふなみず)を汲み込み、前後左右に動かしていきます(写真013)。紙の厚みは、この作業を繰り返すことで調整する。漉きあげられた和紙は、漉桁からはずされて、押し板に重ねます(写真014)。

01_IMG_4223_8x5.jpg015:photo by Norihisa Seki

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漉簀(すきす)を剥がすと和紙が現れます。和紙は水分を抜いた後に、金属製の乾燥機に貼付けローラーでしわを伸ばしていきます(写真016)。

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栃木の伝統産業振興プロジェクト「U」のスーパーバイザーである関 教寿さんと二人で、福田製紙所の吉村 祐樹さんの指導を受けながら紙漉きを体験しました。社長の福田 長弘さんが使っていた紙漉き道具と比べると1/4ほどのサイズでしたが、紙が均一になるように原料を掬うことが本当に難しいことを実感しました。

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02_烏山手すき和紙⑯_8x5.jpg020:photo by Norihisa Seki

今年度の栃木県の伝統産業振興プロジェクト「U」のテーマは「華」です。6月のinteriorlifestyle TOKYOでの新商品発表に向けて、烏山手すき和紙では他のメンバーが使用している素材を漉き込んだ「華」をイメージした和紙を制作しています。写真019は、一心堂さんのお香を漉き込んだ和紙。見た目が美しいだけでなく、心が和む香りがします。写真020は、間々田紐さんの組紐の切れ端を漉き込んだ和紙です。

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福田製紙所の福田 長弘さんは、栃木の伝統産業振興プロジェクト「U」の会議ではいつも温和でもの静かな方なのですが、和紙漉きの現場では機敏で力強い方に見えました。一流の職人が持っているこの二面性に私は惹かれます。福田さんも他のメンバーと同様に、伝統技術を守るだけでなく、好奇心が旺盛で新しいことへの挑戦意欲が高い方ですので、従来の和紙に新たな価値を提供し続けてくださるに違いありません。